日本に飛来する黄砂

日本に飛来する黄砂

(Jacques Descloitres, MODIS Land Rapid Response Team, NASA/GSFC)

この写真は2002年4月に日本列島付近を撮影したものです.日本海側の山間部や富士山の山頂付近にはまだ雪が残っています.

中国大陸から朝鮮半島,日本を経て太平洋上に至るまで,上空に黄褐色の煙のようなものが漂っていますが,これが黄砂です.ちょっと見ると雲と間違えそうですが,真っ白の雲と黄褐色の黄砂はその色の違いで見分けることができます.

黄砂とは,中国大陸の乾燥地帯で吹き上げられた黄色い砂が,上空の強い偏西風に乗ってはるばる日本までやってきて降下する大気現象です.春先に,特に西日本で多く見られる現象です.地上では景色が黄色くぼんやりと見え,時に洗濯物や車にも降り積もります.

中国の中央部から北西部にかけては,ゴビ砂漠や黄土(おうど)高原,タクラマカン砂漠といった乾燥地帯が広がっています.この一帯には直径5〜50ミクロン(1ミクロンは1ミリの1000分の1)のちりのような砂が降り積もってできた地層,黄土層があり,これが黄砂のもとになっています.冬の間カラカラに乾燥した黄土層の砂塵は,春に多発する低気圧の上昇気流により5,000〜10,000メートルの上空まで巻き上げられ,偏西風に乗って約4,000キロ離れた日本にまで2〜3日かけて飛んでくるというわけです.

中国西部のタクラマカン砂漠で黄砂が巻き上げられている様子は,「日本近海でのプランクトンの大量発生」のページでご紹介しています.

日本でもやっかい者の黄砂ですが,中国ではもっと深刻な被害をもたらしています.中国では黄砂は「砂塵暴(さじんぼう)」とも呼ばれ,台風並みの砂あらしとなって街を襲います.年間の被害額は,農作物や家畜を中心に7,000億円に上るそうです.

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