(Jeff Schmaltz, MODIS Rapid Response Team, Goddard Space Flight Center.)
2006年8月27日,太平洋上を発達しながら西に進んでいたハリケーン「イオケ(Ioke)」が,東経(西経)180度の経線を西へ越え,台風12号になりました.天気予報やニュースなどでも伝えられたのでお聞きになった方も多いのではないでしょうか?
写真は,8月31の台風12号の姿です.中心にはっきりとした目があり,その周囲を厚い雲が渦巻き状に取り囲んでいる,典型的な強い台風の形を示しています.
「ハリケーンが台風になった?」
そう疑問に思われる方も多いのではないでしょうか.実は気象現象としては同じものですが,場所が変わったために呼び名が変わったのです.
発達した熱帯低気圧のうち,大西洋,北太平洋の東部・中部(北半球の東経(西経)180度より東),南太平洋の東部(南半球の東経160度より東)に位置するものをハリケーンと呼び,北西太平洋(北半球の東経(西経)180度より西)に位置するものを台風(タイフーン)と呼びます.それ以外の地域に位置する場合は,サイクロンと呼ばれます.
つまり北半球の太平洋に関して言えば,東経(西経)180度(日付変更線のあたり)を境として,西側(日本寄り)にあれば台風,東側にあればハリケーンと言うことです.
この時点でハリケーンとしての勢力は分類上最高の「カテゴリー5」,気象庁の台風の勢力分類でも最高の「猛烈な台風」となっています.
この猛烈な台風12号が勢力を維持したまま,日本最東端の島,南鳥島の近くを通過することが予想されたため,9月1日,同島に駐在する気象庁職員や海上自衛隊員ら約40人全員が島外へ避難しました.
台風12号は9月5日頃までは日本本土に向かう動きを示しましたが,その後は進路を北北東に変え,本州,北海道の太平洋沿岸を舐めるように進み,カムチャツカ半島の東で温帯低気圧になりました.