世界最大のマングローブ林,シュンドルボン

シュンドルボン

(NASA image created by Jesse Allen, Earth Observatory, using data obtained from the University of Maryland’s Global Land Cover Facility.)

インドとバングラデシュにまたがる湿地帯,シュンドルボン(The Sundarbans)の写真です.

大小の川の流れが複雑に分岐・合流しながら蛇行している様子には目を見張りますね.まるで人体の毛細血管の写真を見ているようです.

撮影範囲をこちらの地図でご覧ください.

シュンドルボン(The Sundarbans)は,シュンダバンズとも呼ばれ,インド・ベンガル州とバングラデシュ・クルナ管区南部にまたがって広がる世界最大級のマングローブ林です.シュンドルボンはベンガル語で「美しい森」を意味します.

マングローブとは,熱帯から亜熱帯地方の,海水と淡水が混じる湿地に生育する森林のことです.特定の植物を指す名前ではなく,多くの樹木やつる植物の総称です(日本では沖縄から九州南端にかけて見られます).

この一帯は,ヒマラヤ山脈南麓を水源とするガンジス川がベンガル湾へ注ぐ河口にあたり,多数の分流を生じて広大な三角州(デルタ)地帯を形成しています.河川が運搬した泥が平たく蓄積して湿地帯になっており,潮の満ち引きによって海水と淡水が混じり合います.

マングローブ林は熱帯雨林と同様,空気中の二酸化炭素を吸収して酸素を放出することにより,地球環境の維持に重要な役割を果たしています.また海の水質浄化に果たす役割も大きいことが知られるようになり,マングローブ林を自然破壊から保護することの重要性が認識されてきています.

インド,バングラデシュでは,このシュンドルボンを国立公園として保護しており,特にバングラデシュ側は,1997年にユネスコの世界遺産(自然遺産)に登録されました.

画面で濃い緑色に見えている範囲が国立公園として保護されている地域です.その外側に淡い緑色に見えているのが農業地帯,灰色に見えるのが人口の集中している街です.色の違いで土地の様子がよく分かります.

シュンドルボンは,絶滅が危惧されているベンガルトラの生息地としても知られており,自然保護によりその数を増やしつつあります.また,鳥類も200種類以上が確認され,動物の聖地となっています.

一方,写真からも分かるように,この地域のすぐ外側には人口の集中する地域があり,現在も人口は増加し続けています.今後,開発と自然保護をどのように両立させていくか,難しい課題と言えます.

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