(NASA image created by Jesse Allen, Earth Observatory, using data obtained from the Unversity of Maryland’s Global Land Cover Facility)
これは,オーストラリア南西部のスターリング・レンジ国立公園とその周辺の様子を撮影したものです.レンジ(range)とは山脈のことで,日本ではスターリング山脈とも呼ばれます.
一見すると,緑のパッチワークの真ん中から,シワのある象の皮膚が覗いて見えているようですね.象の皮膚のように見える,東西に細長い地域がスターリング・レンジ国立公園です.標高1000メートルほどの山々が東西65キロメートルにわたって連なっています.
自然がそのまま残されている国立公園に対し,その外側には長方形に区切られた農地が無数に広がっており,劇的とも言えるコントラストを見せています.直線状の境界線がよりコントラストを強調し,自然保護区域が厳格に守られている様子がうかがえます.
写真からも分かるように,スターリング・レンジはなだらかな山々の連なりです.土地の隆起でできたというより,周りの侵食によって形成された山です.スターリング・レンジの地盤は非常に堅い岩でできているため,周りの土地が侵食された後に山脈の形として残ったと考えられます.
また山脈の北西側と南東側には,湖面の色が美しい楕円形の湖がいくつも点在しているのが見えます.
スターリング・レンジは孤立した山脈で,周囲1000キロメートル以上を見渡してもここに匹敵する高い山はありません.従って気候的にも他の地域から隔離された状態にあり,自生する植物が独特の進化をとげました.実に85種の植物がこの地域固有の種だということです.
スターリング・レンジを含む西オーストラリア地方は「ワイルド・フラワー・ステイト(野生の花の州)」とも呼ばれ,広大な土地に多数の野生の花が咲き誇ってツーリストの目を楽しませてくれます.