(NASA/JSC)
2006年3月29日,エジプトやトルコなどで皆既日食が観測されました.
この写真は,地上に落ちる皆既日食の影を,国際宇宙ステーションのクルーが撮影したものです.画面上部にはステーションのマニピュレータが写っています.
丸い地球に月の影が落ち,日食の幻想的な様子がよく捉えられていますね.
影の東側はトルコにかかっており,南側には地中海とキプロス島の北部が見えています.
日食とは,太陽と月と地球が一直線上に並び,地球から見ると月が太陽を覆ってしまう現象です.月と太陽の見かけの大きさが偶然にもほぼ同じであるために起こる現象です.月が完全に太陽を覆ってしまう皆既日食と,月の周りに輪のように太陽がはみ出して見える金環日食があります.今回の日食は皆既日食です.
いずれの日食も,月の影が地上を移動し,その影が落ちている限られた地域で日食が観察されることになります.
「アフリカ大陸に落ちる日食の影」では,人工衛星によって撮影された金環日食の影をご紹介しています.
「日本に向かう日食の影(2009年7月22日)」では,46年ぶりに日本の陸地に落ちることになった皆既日食の影をご紹介しています.
●皆既日食と金環日食
皆既日食と金環日食の違いは,月の見かけの大きさが一定ではないために生じます.地球の周りを回る月の軌道が,完全な円ではなく楕円であるため,地球からの距離が近くなったり遠くなったりします.月の距離が近い時,つまり見かけの大きさが大きい時に皆既日食となり,距離が遠くて見かけの大きさが小さい時に金環日食となります.また,月が太陽の一部だけを隠す場合もあり,これを部分日食と言います.