(ISS Crew Earth Observations experiment and Image Science & Analysis Laboratory at Johnson Space Center)
2007年6月,国際宇宙ステーションから地平線付近を撮影した写真です.
撮影時,国際宇宙ステーションはスペースシャトルとドッキングしながら中央アジア上空を飛行しており,写真は北方向(北極方向)に向けて撮影されました.
太陽は既に地平線の下に沈み,地上は闇に包まれていますが,大気層の上部に薄い雲が青白く幻想的に輝いています.
この雲は,北ヨーロッパなどの高緯度地方で夏の夜に輝いて見える,「夜光雲」と呼ばれる雲です.
通常の雲は地上から高度10キロメートル付近までの「対流圏」という大気層にできるのに対し,夜光雲は,高度80キロメートル付近の「中間圏」という大気層にできるのが特徴です.このことから「極中間圏雲」という名も付けられています.
このように極端に高い高度に発生するため,地平線の下にある太陽からの光を受け,日没後や夜明け前に白く(ときに銀色に)輝いて見えます.
地上から撮影した夜光雲の写真です.
(Veres Viktor of Budapest, Hungary)
何とも美しい光景ですね.夜光雲が発生するメカニズムはまだ十分に解明されていませんが,最近その発生頻度が高まっているとも言われ,宇宙からの観測が精力的に行われています.
2007年に初めて人工衛星から観測された,北極圏上空の夜光雲の画像です.
(Cloud Imaging and Particle Size Experiment data processing team at the University of Colorado Laboratory for Atmospheric and Space Physics)
夜光雲が地球規模の現象であることがよく分かります.
高緯度地方で見られる美しい大気現象として良く知られているのはオーロラですね.「宇宙から見たオーロラ」もどうぞご覧ください.
★地球の大気については,「大気から宇宙へ」の解説をご覧ください.