ナミビアの砂漠と海

ナミビアの砂漠と海

(MODIS Rapid Response Project, NASA/GSFC)

アフリカ大陸ナミビア共和国の壮大な海岸線が約1,500キロメートルにわたって延び,海岸沿いにはナミブ砂漠が広がっています.海岸沿いの砂漠は世界でも珍しいものです.ナミブ砂漠は世界最古の砂漠とも言われ,ナミビア共和国の名前はこの砂漠の名にちなんだものです

写真の位置をこちらの地図でお示しします.

砂漠といっても地表の様子は単調ではなく,岩砂漠や砂丘,植物の生えている部分など,モザイク状に色合いが異なる様子が観察できます.大陸の南半分には,オレンジ色の砂丘がいくつも連なる巨大砂丘地帯が写っています.個々の砂丘の高さは300メートルほどにも達します.写真を拡大すると,砂丘に美しい風紋が刻まれているのがはっきりと認められます.また,砂丘地帯の南側に,小さな雲がいくつも影を落としている様子も美しいですね.

海に目を転じると,砂丘地帯に接する海面の一部が青緑色に色付いている様子が見られます.これは,海底から硫黄分が湧き上がっているところです.この硫黄分が発生する過程には,植物プランクトンの増殖が関わっています.

この海域には南極方面からベンゲラ海流と呼ばれる栄養分の豊富な寒流が流れ込んでおり,植物プランクトンが増殖しやすい環境になっています.増殖した植物プランクトンの寿命は数日で,その死骸は海底に沈んでバクテリアによって分解されます.この分解の過程で,ある種のバクテリアが硫化水素ガスを発生し,発生した硫化水素ガスが周期的に海底から湧き上がります.硫化水素は海面付近で酸素と反応して硫黄に変化し,その色が海水の青色と混じって青緑色に見えるのです.

その少し北側の沿岸海域では,見事な白色の渦が見られます.これは,南からの寒流と北からの暖流がぶつかり合う付近に発生した海霧です.寒流と暖流がぶつかる海域にはその温度差から海霧が発生しやすいことが知られています.日本の北海道の襟裳岬もその例で,千島海流(寒流)と日本海流(暖流)が沖でぶつかり合い,海霧が発生しやすくなっています.

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