(NASA Image by Robert Simmon, based on Landsat data provi ded by the UMD Global Land Cover Facility)
ミシシッピー川は,北米大陸を南北に流れる世界で3番目に長い大河です.大陸を流れる間に大量の土砂を運び,河口のあるメキシコ湾に堆積させます.
写真には,左上から流れてきた川から大量の土砂が海に流出し堆積している様子が鮮明に映し出されています.ミシシッピー川河口のこの地形は鳥の足のように見えることから,鳥趾状三角州とも呼ばれています.同じように川の堆積物でできた地形でも,「エジプト,ナイル川」とは全く形状が異なりますね.
毎年夏になるとメキシコ湾岸には,生き物が生息できないデッド・ゾーンと呼ばれる巨大な海域が出現します.このデッド・ゾーンの発生にはミシシッピー川が大きく関わっているということです.ミシシッピー川河口から流出する土砂には有機物が多く含まれており,海に生息する植物性プランクトンの栄養源になります.そのため夏になると植物性プランクトンが異常発生し,その死骸が海底に沈んでバクテリアによって分解される時に,水中の酸素が大量に消費されます.そのため海の中は酸欠状態となり,生き物が生息できなくなってしまうのです.この美しい写真からは,死の海域があることなど想像できませんね.
ミシシッピー川から流出する有機物には枯れた植物など自然に生成されるものも含まれますが,プランクトンを異常発生させている大きな原因は,農業で大量に使われている化学肥料の流出と考えられています.ここ数十年で巨大デッド・ゾーンの区域はどんどん大きくなっているとのことです.