(NASA/GSFC/LaRC/JPL, MISR Team)
この写真は2000年8月に撮影したもので,オーストラリア北東部,クイーンズランド州の海岸の中央部付近とその沖合いの海の様子が写っています.
沖合い200 kmくらいまでの範囲にサンゴ礁が美しい姿を見せ,海の色をコバルトブルーからエメラルドグリーンへとグラデーション豊かに変化させています(画面の横幅はおよそ380 kmです).
グレートバリアリーフはオーストラリアの北東海岸に長さ2,000 kmにわたって広がる世界最大のサンゴ礁で,一帯には大小700を超える島々が浮かび,有名なリゾート地となっています.長さ2,000 kmといえば日本列島がすっぽり入ってしまう大きさですので,その規模の大きさには驚かされます.この画面にはグレートバリアリーフ全体の5分の1程度が写っていることになります.
グレートバリアリーフの青く透きとおった海は多くの人々を魅了し,ダイビングに訪れる人も多いようです.みなさんの中にも実際に行かれた方がいらっしゃるのではないでしょうか.
最初にご紹介した写真からはサンゴ礁の詳しい様子まではわかりませんが,この高解像度・広範囲の写真では,たくさんのサンゴ礁の目を見張るような美しさを堪能することができます.ぜひフルサイズでお楽しみください.
(NASA/GSFC/LaRC/JPL, MISR Team)
サンゴ礁はその構造によっていくつかのタイプに分けられており,そのうち,海岸からはるか沖合に発達したものを「ほ礁」,英語で「バリアリーフ」と呼びます.代表的なものが,その名のとおりグレートバリアリーフです.
写真の北端の沿岸近くに浮かぶ大きな島はウィットサンデー島で,そこから南東へ向けて小さな島々が海岸と平行に点在しています.それらの中にはリゾートアイランドとして知られるヘイマン島,リンデマン島,ハミルトン島,ブランプ島などが含まれています.これらの島々も周りをサンゴ礁に囲まれており,数多くのダイビングスポットがあります.
●サンゴ礁とは?
サンゴ礁とは,サンゴ虫と呼ばれる生物の骨格(炭酸カルシウム)が蓄積して形成されたものです.サンゴ虫はイソギンチャクに近い生物で,体内に植物プランクトンを共生させ,光合成で生み出す栄養分をとって成長します.したがってサンゴ礁が形成される場所は,透明度が良く太陽の光がよく届く浅い海に限られます.グレートバリアリーフはこのような条件を十分に満たしていたのでしょう.サンゴ虫の大きさは1cmにも満たないため,長さ約2,000 kmのグレートバリアリーフが出来るまでには1万年以上の時間がかかっているとも言われます.サンゴ礁は海中の豊かな森のような存在で,地球温暖化の原因である二酸化炭素を吸収する役割を持ち,また海洋生物たちの大切な棲息地にもなっています.グレートバリアリーフは,この貴重さから,1981年に世界遺産に登録されています.