NASAでは「ブルー・マーブル(Blue Marble)」と呼ばれるプロジェクトによって,宇宙から見た地球全体の姿を公開してきています.マーブルとはビー玉のことで,地球を青いビー玉に例えたかわいいネーミングです.
2005年に公開された「次世代のブルー・マーブル(Blue Marble: Next Generation)」と呼ばれる一連の写真では,前の年一年間に観測された膨大な画像データの処理により,一ヶ月ごとの地球全体の姿がリアルに再現されています.
それらの写真から,地球の四季の様子を見てみましょう.
(Reto Stockli, NASA Earth Observatory, NASA Goddard Space Flight Center)
【1月】
北半球の高緯度地方が広範囲にわたって雪と氷に覆われています.シベリアを含むロシア全域,北欧,アイスランド,グリーンランド,カナダ,アラスカ,アメリカ合衆国の北部などが白銀の世界となっています.
日本では,北海道全域と,東北から北陸にかけての日本海側に積雪が見られます.北西の季節風が背梁山脈にぶつかって日本海側に雪を降らせ,太平洋側には乾燥した空気をもたらすという日本の冬の気候の特徴が,はっきりと表れています.
ヨーロッパに着目すると,アルプス山脈や,フランスとスペインの国境にあるピレネー山脈が雪をかぶっている様子が分かります.
ヨーロッパは,大西洋沿岸をメキシコ湾流(北大西洋海流)と呼ばれる暖流が流れているため,緯度が高いわりには気候が温暖です.例えば,ロンドンは,札幌より緯度で10度も北に位置していますが,気候的には札幌よりずっと温暖です.この写真からもその違いが良く分かりますね.
【4月】
北半球の多くの地域では雪解けの季節を迎えています.日本の本州の雪もかなり少なくなっていますね.でもシベリア,グリーンランド,アラスカなどはまだ雪に覆われています.
【7月】
北半球は夏です.グリーンランドなど一部の地域を除いて雪はすっかり姿を消し,代わって緑が大地を覆っています.
地中海沿岸地域は,夏に降雨量が少なく乾燥します(地中海性気候と呼ばれます).写真で,ジブラルタル海峡を挟むスペインとモロッコや,イタリア半島などの緑が少なくなっているのはこの影響と考えられます.1月の写真と比較してみてください.
一方,南半球の季節は冬です.ニュージーランドの南島や,南米チリのアンデス山脈に積雪が見られます.
【10月】
北半球は秋になりました.シベリア,カナダ,アラスカなどが雪に覆われ始めました.これらの地域では再び厳しい冬の季節に向かうことになります.
いかがですか?地球規模で季節の変化が分かりますね.どこか興味のある地域に着目して一年の変化を見てみると,また新たな発見があることと思います.