(Jeff Schmaltz, MODIS Land Rapid Response Team, NASA/GSFC)
長靴 (ブーツ) の形に例えられるイタリアの,つま先に接する位置に浮かぶ大きな島がシチリア島 (英語名:シシリー島) です.そのシチリア島の東部に,ヨーロッパ最大の火山であるエトナ山(標高3,350メートル)がそびえます.
この写真は2002年10月30日に撮影したもので,その4日前の10月26日にエトナ山は噴火しました.この噴火では溶岩が火口から200メートルの高さまで吹き出し,噴煙が2,000メートルを超える高さまで立ち昇りました.南東にあるカターニア空港は噴煙による視界不良と降灰のために閉鎖されました.この写真では,高く立ち昇った噴煙が地中海に向けて流れていく様子が鮮明に捉えられています.
エトナ山が誕生したのは250万年前と言われ,有史以来現在まで200回以上の噴火が記録されています.最も古い記録としてはギリシャ時代の紀元前475年のものが知られており(紀元前1500年までさかのぼるとの説もあります),地球上で最も古く観測が記録された火山と言っても良いでしょう.また,文明の地ヨーロッパで古くから噴火を繰り返していることで,エトナ山は世界で最もよく研究された火山となっています.
この写真は,10月28日に撮影したシチリア島付近のクローズアップです.
(Jacques Descloitres, MODIS Rapid Response Team at NASA/GSFC)
噴煙を上げる火口以外に,その北側からも白い煙が立ち昇っています.これは,高温の溶岩流によって引き起こされた山林火災のものです.衛星が高温部を検出したことを示す赤色のマークも2ヵ所示されています.
イタリアは日本と同様,火山と地震の多い国です.普段は美しい景観で我々の目を楽しませてくれる火山ですが,麓の地域では噴火災害から身を守る闘いが続きます.エトナ山では時としてダイナマイトなどの爆発物を用いて溶岩流の流れを変える試みが何度か行われています.