(NASA/GSFC/JPL, MISR Team)
この写真は,ブラジルのアマゾン州の中央部付近を写したものです.画面中央やや右寄りに,川に三角に突き出したように見えるグレーの部分が,アマゾン州の州都マナウスの街です.
写真の位置を地図でお示しします.
アマゾン川の支流のうち,写真の左下からはソリモンエス川が,左上からはネグロ川が流れてきており,マナウスの東側で合流してアマゾン川本流を形成しています.
これら2つの支流,その水の色が全く異なりますね.左下のソリモンエス川は灰色に濁っていますが,これは,川の水に細かい土砂が大量に含まれていることを示しています.地図をご覧いただくと,ソリモンエス川の源流は遥かペルーの山岳地帯(アンデス山脈)であることが分かります.アンデス山脈から続く流域が,水に侵食されやすい地盤であることが想像できます.一方,左上のネグロ川は濃いブルーを呈していますが,これは,川が岩盤の多い地帯を流れてきたために土砂をほとんど含まず,水が澄んでいることを示しています.マナウスの東側で二つの流れは合流しますが,合流した後もしばらくの間,それぞれの色が混じり合わずに流れていく様子が分かります.
ネグロ川の川幅が,マナウスのすぐ北西で広くなっていますが,よく見ると川の中にたくさんの島(中州)が観察できます.この付近の川幅は27キロメートルに達し,川の中には長さ90キロメートルにわたっておよそ400の島が浮かび,アナビリャーナス群島と呼ばれています.ここは世界最大の淡水群島で,アマゾン特有の動物が多く生息しており,野生生物の保護区になっています.また,雨季にはほぼ半数の島が水没するため,水に浮かぶ森といった光景が見られます.
写真右下には,ソリエンモス川よりもさらに白っぽい色のマデイラ川が写っています.この川はブラジルとボリビアの国境付近の山々を流れる渓流が源流となっています.マデイラとはポルトガル語で木々という意味で,川に浮かぶ大量の流木にちなんで名付けられたものです.