(Jeff Schmaltz, MODIS Rapid Response at NASA GSFC)
南米アマゾンの広大な熱帯林の上空に,無数の綿雲(わたぐも)が広がっています.2009年8月にNASAの地球観測衛星Aquaから撮影されました.
綿雲がほぼ同じ高度に広がっていて,まるでポップコーンを撒き散らしたようです.実際,NASAのサイトでは「ポップコーン雲」と記載されていますので,アメリカではそう呼ばれているのかも知れません.
綿雲は正式には積雲(せきうん)と呼ばれ,日照で地表が暖められてできた上昇気流によって,高度2000m以下に発生する低い雲です.
アマゾンの広大な森林から蒸散によって放出された水蒸気が,太陽熱による上昇気流に乗って上空一面に積雲を発生させています.
積雲の発生する高度は,空気の上昇によって水蒸気が凝結し雲粒が生成される高さを示しているので,同じ地域の積雲はすべて同じ高度に存在することになります.
積雲は通常,日射が強まるとともに成長しますが極端には発達せず,個別に空に浮かんだまま,雨を降らすことなく夕方には消えてしまいます.地上からは切れ間に青い空が見える,晴れの日の雲といえます.
写真をよく見ると,河川の上空だけは雲ができていません.これは,日照による水面の温度上昇が地表と比べて小さいことが原因と考えられます.河川上空の温度が周りより低くなり,下降気流が生じて雲が消滅しているのです.