南太平洋,トゥレイア環礁

トゥレイア環礁

(Lawrence Ong and the EO-1 Science Team, NASA)

この写真は,2006年6月,南太平洋のフランス領ポリネシアにあるトゥレイア環礁(かんしょう)(Tureia atoll)という島を撮影したものです.サンゴ礁が見事に環状に連なって島を形成しています.

海岸付近が明るい色に輝いて見えるのは,サンゴの骨格に由来する石灰質を多く含む,白い砂のためです.その砂の上にわずかに形成された土壌によって,ココヤシやタロイモ,パンノキなどの植生が育まれ,緑のラインを形作っています.

この島のように,サンゴ礁が楕円形や円形に連なってできた島を一般に「環礁(かんしょう)」と呼びます.

環礁は最初からこのような形をしていたわけではなく,長い年月を経て形成されたものです.その形成過程は,進化論で有名なチャールズ・ダーウィンによって以下のように説明され,現在でもこの説は支持されています.

最初に,地殻の割れ目から噴き出すマグマによって,下の写真のような若い火山島が形成されます.

ピトケアン島

(Lawrence Ong and the EO-1 Science Team, NASA)

この写真は,上でご紹介したトゥレイア環礁から南東へ1,120キロメートルの位置にある,イギリス領のピトケアン島(Pitcairn Island)という島です.岩石が多くて急峻で,海岸のほとんどが断崖絶壁です.

このような熱帯〜亜熱帯の島では,高い水温と豊富な日光照射により,島の周りの海底浅いところにサンゴ礁が発達します.この画像でも島の周囲の海の色が明るいブルーに見えており,サンゴ礁が発達しつつあることを示しています.このように海岸部に接して形成されるサンゴ礁を「裾礁(きょしょう)」と呼びます.

年月を重ねると,海底のプレートの移動に伴って島もゆっくりと移動し,マグマの噴き出す地点(ホットスポット)から外れて島の火山活動は収まります.

すると島は次第に沈下し,侵食作用も受けて規模が小さくなり,かつての火口付近がかろうじて海面から顔をのぞかせる程度となります.その一方で,島の周囲のサンゴ礁は上方へ発達を続け,防波堤のように,島から離れた場所で環状に島を取り囲むようになります.

下の写真のような状態です.

オエノ島

(Lawrence Ong and the EO-1 Science Team, NASA)

この写真は,ピトケアン島と同じ諸島に属する,オエノ島(Oeno Island) という島です.真っ白な砂浜と淡い水色に輝く浅瀬が美しいですね.

このように,陸地から離れて環状に形成されたサンゴ礁を,「堡礁(ほしょう)」と呼びます.

この島も,いずれ中央部分が完全に海面下に沈み,最初にご紹介したような環礁へと変化していくと考えられます.

太平洋のホットスポットと火山島の変化については,「陽光きらめくハワイ諸島」のページでも解説しています.

また,サンゴ礁については「オーストラリア,グレートバリアリーフ」でもご紹介しています.併せてご覧ください.

タイトルとURLをコピーしました