(NASA image courtesy Jeff Schmaltz MODIS Rapid Response Team, GSFC.)
2011年1月27日,宮崎・鹿児島県境に位置する霧島連山の新燃岳(しんもえだけ)が爆発的な噴火を起こしました.
この写真は,2月3日午後1時30分に地球観測衛星Aqua(アクア)によって撮影されたものです.
西風に乗って白い噴煙が東方に流され,宮崎県沖の日向灘まで伸びています.海上に噴煙の影もはっきりと写っています.
この日,新燃岳では,午前3時,午後0時17分,同5時45分の3回にわたって大規模な爆発的噴火があり,噴煙は一時,上空2500メートルにまで達しました.衛星写真が撮影されたのは2回目の噴火のおよそ1時間後です.
画面下側には,桜島からもわずかに噴煙が上がっている様子が写っています.
今回の新燃岳の噴火は,江戸時代に2年ほど続いた噴火以来300年ぶりの本格的なマグマ噴火とのことです.
同じ日の10時30分に別の衛星(EO-1)から撮影されたこの写真では,火口の中に溶岩ドームが盛り上がってきている様子が分かります.
NASA image by Robert Simmon, using ALI data from the EO-1 team.)
溶岩ドームは2月3日現在,幅600メートル,高さ110メートルに達しているとのことです.
火口周辺を見ると,新燃岳の南東側斜面に火山灰が降り積もり,地面が灰色になっています.
また,この地域には火口クレーターや火口湖がいくつも連なっており,新燃岳の属する霧島連山が火山の集まりであることがよく分かります.
翌日の2月4日に衛星Terra(テラ)から撮影された写真がこちらです.
(NASA image courtesy Jeff Schmaltz MODIS Rapid Response Team, NASA-GSFC.)
噴煙は風の影響で蛇行しながらさらに長く伸び,四国の南端にまで達しています.
新燃岳はこの後数日間ほぼ連続的に火山灰を放出していましたが,2月9日頃から噴火は断続的となりました.
2月上旬を最盛期として新燃岳の噴火活動は低下してきていますが,8月に入ってもまだ小規模な噴火が時折発生しています.
2011年8月の時点で,新燃岳の北西地下深くのマグマだまりには深部からのマグマの供給が続いており,マグマだまりから新燃岳へ多量のマグマが上昇すれば,噴火活動が再び活発化する可能性もあるとのことです.