データ提供:Global Land Cover Facility, University of Maryland
写真作成:筆者
南北1.7キロメートル,東西4.5キロメートルの,楕円形をいびつにしたような形のサンゴ礁が写っています.これが日本最南端の島,沖ノ鳥島です.しかしこのほとんどの部分は,満潮時には海面の下に沈んでしまいます.
満潮時でも海面の上に顔を出しているのは,「北小島」と「東小島」と呼ばれる2つの島ですが,いずれも高さが1メートルにも満たない,ほとんど岩と言っても良い大きさのものです.実際,「北露岩」,「東露岩」と呼ばれることもあります.
画質が落ちるのを覚悟で,強拡大した写真がこちらです.
サンゴ礁の中の左側に4つの茶色い点が見えるでしょうか.このうち左上の点が北小島,右上の点が東小島です.他の2つの点は,観測用に建設された施設です.
沖ノ鳥島は,周りに陸地もなく台風の通過点でもあることから侵食を受けやすく,放置すると,そう遠くない将来に水没してしまう恐れがあります.
領海条約により満潮時に水没しない土地が領土とされていることから,水没すれば沖ノ鳥島は日本の領土ではなくなってしまいます.と同時に,領土から200海里(約370キロメートル)の範囲に設定されている排他的経済水域を失うことになります.
排他的経済水域とは,その国が漁業や資源開発などの経済活動を行う権利を有する水域のことですが,沖ノ鳥島が領土でなくなると,日本の国土面積(約38万平方キロメートル)を上回る,約40万平方キロメートルの経済水域を失うことになります.
そこで日本政府は1988年に巨額の費用(285億円)を投じて,北小島と東小島それぞれの周囲を半径25メートルにわたってコンクリートで固め,さらに外側に消波ブロックを設置する護岸工事を実施しました.特に侵食が激しかった東小島の上には,チタン製の網蓋も設置されました.領土保全の目的で島そのものを埋め立てることは認められていないため,周囲を固めて波や風による侵食を食い止めようというわけです.
沖ノ鳥島は,北緯20度25分,東経136度05分に位置し,東京都心から約1,700キロメートル離れています.台湾より南にあり,ハワイのホノルルと同じくらいの緯度になります.地番も設定されており,北小島が東京都小笠原村沖ノ鳥島1番地,東小島が同2番地となっています.
位置はこちらの地図でご覧ください.地図には日本最東端の島である南鳥島と,日本最西端の島である与那国島も併せて記載してあります.
●南鳥島についてはこちら→「日本最東端の島,南鳥島」
●与那国島についてはこちら→「日本最西端の島,与那国島」