世界自然遺産,小笠原諸島

父島列島
母島列島

(Global Land Cover Facility, University of Marylandのデータを基に筆者作成)

日本の小笠原諸島が2011年6月にユネスコの世界自然遺産に登録されました.国内の世界自然遺産としては,屋久島(鹿児島),白神山地(青森,秋田),知床(北海道)に続く4件目となります.

衛星写真は小笠原諸島の代表的な島,父島列島と母島列島です.

東京から南に約1,000km離れ亜熱帯に属する小笠原諸島は,島の誕生以来一度も大陸と地続きになったことがなく,独自の進化をとげた固有の動植物が多く生息しています.

そのため小さな海洋島における生物の進化を示す典型的な見本として,世界的な価値を持つことが認められました.

太平洋の紺青色の海に,自然豊かな島々が浮かんでいます.

地図はこちら.

家族の呼び名が島の名前になっているのが特徴的ですね.これは,1862年に幕府から派遣された巡視隊の報告書に「島々の配置は,南北に連なり,あたかも家族のように並んでいるので,中央を父島群島,南を母島群島とし,北を聟島(むこじま)群島とする.」と記載されたのが由来となっています.

現在,小笠原諸島で一般の人が住んでいるのは,父島と母島のみです.

日本全体での小笠原諸島の位置はこちらです.

この地図には日本最東端の「南鳥島」,最南端の「沖ノ鳥島」,最西端の「与那国島」を示してありますが,このうち南鳥島と沖ノ鳥島は小笠原諸島に含まれます.

小笠原諸島は30余りある島々の総称で,北から,聟島列島,父島列島,母島列島と連なり,さらに250kmほど南に火山(硫黄)列島があります.南鳥島や沖ノ鳥島などの孤立島を含めて,総面積は104平方kmです.

このうち,聟島列島,父島列島,母島列島を小笠原群島(ぐんとう)と呼び,さらに火山(硫黄)列島と西之島を合わせた島々を南方諸島と呼びます.

南方諸島全体を地図で見るとこんな感じです.

小笠原諸島にしかいない固有の生きものの割合は,植物で36%,昆虫類では28%,陸産貝類(カタツムリなど)では94%にもなります.また小笠原周辺の海には数多くのクジラやイルカが生息しており,それらを見るために島を訪れる人も多くいます.

小笠原には空港がないので,島を訪れる唯一の交通手段は船です.東京・竹芝桟橋から定期船「おがさわら丸」が運航しています.朝10 時に出航し,約25時間30分の船旅を経て,翌日11時30分に父島・二見港に到着します.

海が穏やかならば,丸一日かけて島を訪れるのも旅情があって良いですね.

しかし一方で,人によって他の土地から持ち込まれた外来種の動植物が,小笠原諸島の生態系を脅かしていることも事実です.そのため小笠原では,外来種の駆除の取り組みを行なうとともに,旅行者にも,靴底や服・カバンなどに付いた種や虫を気付かずに持ち込んだりしないよう注意を喚起しています.

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