(NASA)
画面右寄りに,驚くほど見事な形状を残したクレーターが見られます.アメリカ・アリゾナ州のアリゾナ砂漠にある,メテオ・クレーターです.まるで月面のクレーターのようですね.
実際,月面着陸を目指したアポロ計画の宇宙飛行士たちは,このクレーターを 月面のクレーターと見立てて訓練しました.
メテオ・クレーターは直径1,300メートル,深さ174メートル,地球上で,隕石 の衝突によって形成されたことが初めて確認されたクレーターです.
およそ5万年前,直径50メートル,重量30万トン級の隕石が,時速6万5000キロ メートルで地表に衝突したと推測されています.
画面を斜めに走る引っかき傷のような筋は,ディアブロ渓谷です.ディアブロ 渓谷の流れは蛇行しながら北上し,コロラド川支流を経てグランドキャニオン に達します.
こちらは,グランドキャニオンを含む広範囲を撮影した衛星写真です.
(NASA/GSFC/LaRC/JPL, MISR Team)
撮影範囲をこちらの地図でお示しします.
画面中央部で蛇行するコロラド川の流域がグランドキャニオンですが,この画面の下端ギリギリ,やや右寄りにメテオ・クレーターが小さく写っています.分かりますか?こちらでご確認ください.
メテオ・クレーターを初めて隕石クレーターであると結論づけたのはダニエ ル・モロー・バリンジャーという鉱山技師で,1902年のことです.彼にちなん でこのクレーターはバリンジャー・クレーターとも呼ばれます.その後1960年 には,隕石の衝突で生成される特徴的な鉱物が発見され,それが決定的な証拠となり ました.
別のページでご紹介している「南アフリカの隕石クレーター,フレーデフォート」は,20億年以上前に形成され,地球上に残る最古のクレーターと言われています.一方メテオ・クレーターは形成されたのが5万年前で,地球の歴史上最も新しい隕石の衝突痕の一つです.地球の誕生が46億年前であることを考えると,つい最近の出来事と言っても良いですね.