(Jacques Descloitres, MODIS Rapid Response Team, NASA/GSFC)
この写真は2003年の5月に撮影したものです.ハワイは,日本では知らない人がいないくらい有名な観光地ですが,ハワイ諸島の主な8つの島の名前を全て言える人は少ないのではないでしょうか.
画面右下から左上へ,ハワイ島 (別名ビッグ・アイランド),マウイ島,少し小さなカホオラウェ島とラナイ島,そしてモロカイ島,オアフ島,カウアイ島,ニイハウ島となっています.ワイキキ・ビーチやダイヤモンドヘッドのある州都ホノルルは,オアフ島にあります.
写真の右側半分くらいの海が銀色に輝いて見えますが,これはちょうど太陽の光が海面に反射している様子をとらえたものです.もし仮に海面に波がまったく立っていないとすれば,太陽の光は鏡のように反射して丸い形が見られるはずです.しかし実際には太平洋の真っ只中の海では波の影響で光は散乱して和らぎ,このように銀色の海が広がる光景になります.
ハワイ諸島には年間を通じて北東貿易風が吹いているため,島の南西側は風下になり,海も比較的穏やかです.そのため,ハワイ島やマウイ島の南西側の海は太陽光をより強く反射し,一段と明るく輝いています.また北東貿易風の影響は降雨や植生にも表れ,島の北東側で降水量が多く,緑地も多くなっています.
ハワイ諸島は火山活動で形成された島で,最も大きなハワイ島には,1983年から現在まで止むことなく活動を続けているキラウエア火山があります.写真で島の南東部に見える赤い印は,人工衛星が検出したキラウエア火山の高温部を示しています.キラウエア火山は有史以来何度も噴火をくり返しており,世界で最も研究が進んでいる火山と言われています.
●ハワイ諸島が東西に並んでいるわけは?
太平洋の海底は太平洋プレートと呼ばれ,年間約8 cmという非常にゆっくりした速度で西北西に移動しています.ハワイ諸島も太平洋プレートに乗ってベルトコンベアーで運ばれるように西北西に移動しています.ハワイ諸島の島々は現在のハワイ島の位置で誕生しました.ハワイ島がある位置にはマグマが噴出しているホットスポットと呼ばれる部分があり,その噴火活動によって島が誕生します.誕生した島は火山活動で成長しながら徐々に北西に移動していきますが,ホットスポットの位置は変わらないため,次第にホットスポットの位置から外れて火山活動が止まります.火山活動の止まった島は浸食や沈下によって次第に規模が小さくなっていき,その一方でホットスポットの位置では再び新しい島が誕生します.その繰り返しによって,東西に連なる今のハワイ諸島が形成されたわけです.最も東寄りにあるハワイ島が最も若く火山活動が活発な島で,西にある島ほど誕生してから年月の経っている島ということになります.