(Jacques Descloitres, MODIS Rapid Response Team, NASA/GSFC)
この写真は,サハラ砂漠にある「円形農場」の様子を,国際宇宙ステーションから撮影したものです.この農場地域はリビア南東部,エジプトとの国境近くのクフラ・オアシスにあり,リビア最大級の農場プロジェクトのひとつとして建設されました.
この農場はピボット灌漑式あるいは回転散水式と呼ばれ,中心部で地下水を汲み上げ,そこを軸に巨大なスプリンクラーがゆっくりと回転しながら灌漑を行ないます.そのため農場が円形をしているわけです.ここの円形農場の直径はおよそ1 kmあります.したがってスプリンクラーの長さは約500 mというとてつもない大きさです.
ここでは小麦やアルファルファといった作物が栽培されており,農作物の生育状況の違いによりそれぞれ異なった色に見えます.濃い緑色に見えるのが,作物が最も生育した状態です.
リビアでは,作物の栽培に必要な降水量が得られる地域は国土のたった2パーセントしかないため,ここの灌漑には地下水を利用しています.降水量の少ない砂漠でも地下水があるのかな?と思いますが,ここで利用している水は,砂漠がまだ緑豊かだった1万年以上前の雨水が地層の中に閉じ込められたもので,「化石水」とも呼ばれています.
砂漠の中に緑色の円がいくつも集まる様子は,地球を周回する国際宇宙ステーションから見てもよく分かる地上の風景のひとつです.